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細胞分子生物学Ⅰ 第5回

第5回 2019/5/15

  • 講師:山田 貴富
  • 参考書:遺伝子の分子生物学 第7版 pp.313-340
  • 参考書:細胞の分子生物学 第5版 pp.295-304
  • 参考書:ゲノム 第4版
  • 参考書:自己変革するDNA

講義概要とキーワード

  1. イントロダクション
  2. 変異の原因
    1. DNA複製時の誤り
    2. 外的要因
      • 加水分解(脱アミノ化)
      • アルキル化、酸化
      • 光化学反応
      • 塩基類似体や塩基間挿入剤
      • 鎖切断
      • キーワード:ヒポキサンチン・キサンチン・\(\mathrm{O}^6\)-メチルグアニン・8-オキソグアニン
  3. 様々な修復系
    1. ミスマッチ修復
      • 大腸菌でのミスマッチ修復
      • 真核生物でのミスマッチ修復
      • キーワード:MutS・MutL
    2. 直接修復
    3. 除去修復
      • 塩基除去修復
      • ヌクレオチド除去修復
      • キーワード:DNAグリコシラーぜ・APエンドヌクレアーゼ・転写共役修復・ゲノム全体修復
    4. 鎖切断修復
      • (相同組換え)
      • 非相同性末端結合
    5. 損傷乗り越え複製
    6. DNA修復不全に伴う疾患
      • キーワード:XP・CS
  4. 組換え、修復と遺伝子治療
    1. 遺伝子治療の現実
    2. 標的部位での遺伝子改変法
      • ZFN、TALEN、CRISPR-Cas9

小テスト

# 問題 解答
1 DNAに変異が入る場合について考えて下さい。
1.1 DNAに変異が入る要因を二つ挙げてください。 熱、酵素反応の偶発的失敗、様々な放射線環境物質の作用など。
1.2 DNA損傷の代表的ケースとして、( 1 )などに代表される塩基の加水分解、( 2 )を生じる塩基のアルキル化、( 3 )を生じる塩基の酸化等がある。これらはいずれも、通常見られる塩基対であるグアニン-シトシンや、アデニン-チミンとは異なった塩基対の形成を誘起する。また、( 4 )により隣り合う( 5 )が架橋される( 5 )ダイマーは転写や複製等を阻害する。 (1)脱アミノ化
(2)\(\mathrm{O}^6\)-メチルグアニン
(3)8-オキソグアニン
(4)光化学反応
(5)ピリミジン
1.3 上の2で触れなかったDNA損傷についてまとめて下さい。 DNA損傷には、熱や放射線などの外因性の物もある。例えば放射線は、直接DNA分子の電離や励起を引き起こして損傷を与える場合(直接作用)と、水分子の電離や励起を介して損傷を与える場合(間接作用)がある。
2 変異の修復機構について答えてください。
2.1 除去修復を2種類挙げ、それぞれの特徴についてまとめて下さい。 ・塩基除去修復:
様々な種類のDNAグリコシラーぜがそれぞれ異なる塩基変化を認識し、その塩基を糖から取り除く。その後、塩基の欠落した糖リン酸がAPエンドヌクレアーゼによって切除され、できたギャップをDNAポリメラーゼとDNAリガーゼが埋める。
・ヌクレオチド除去修復:
大型の複合酵素が塩基の変化ではなく、DNAの二重らせんに生じた大きな歪みを探す。損傷を見つけると、その歪みの両側で異常のある方の鎖のホスホジエステル結合を切断する。損傷を含んだオリゴヌクレオチドはDNAヘリカーゼによって二重らせんから取り除かれ、生じた大きなギャップはDNAポリメラーゼとDNAリガーゼが修復する。
2.2 DNA二重鎖切断の修復機構を二つあげてください。また、それらのうち、高等真核生物でより頻繁に見られるものはいずれですか。 ・非相同末端連結
・相同組換え

真核生物でより頻繁に見られるのは、相同組換え。
3 高等真核生物において、標的部位での相同組換えを誘起する方法を複数あげて下さい。 部位特異的ヌクレアーゼを導入する方法が一般的であり、その種類としてZFN・TALEN・CRISPR-Cas9が挙げられる。
ZFN:
ZFNはジンクフィンガードメインとDNA切断ドメインから成る人工制限酵素である。ジンクフィンガードメインは任意のDNA塩基配列を認識するように改変可能で、これによってジンクフィンガーヌクレアーゼが複雑なゲノム中の単一の配列を標的とすることが可能となる。
TALEN:
制限酵素であるFoklをDNA切断ドメイン、TALEタンパク質から成るDNA結合ドメインを融合させた人工酵素を用いる。Foklが切断活性を示すためには、TALENが適切な距離を維持して二量体を形成する必要があるので、高い特異性を持ち、ミスマッチ寛容やオフターゲット活性はほとんど報告されていない。
CRISPR-Cas9:
Casと呼ばれるヌクレアーゼと、標的となるDNA配列へ導くガイドRNAとを複合化するため、ガイドRNAは標的部位に特異的に結合できる。そうすると、ガイドRNAとDNAを覆うようにCas9タンパク質が結合して、DNAを切断する。Cas9自体は使い回しができるというメリットがある一方で、部位特異性が低い分オフターゲット効果が起こりやすいというデメリットがある。

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Published
May 15, 2019
Last Updated
May 15, 2019
Category
細胞分子生物学Ⅰ
Tags
  • 3S 95
  • 細胞分子生物学Ⅰ 14
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