第1回 2019/4/10
- 講師:山田 貴富
- 参考書:遺伝子の分子生物学 第7版 pp.21-43, pp.51-105
- 参考書:細胞の分子生物学 第5版 pp.45-65, pp.197-201
- 参考書:自己変革するDNA
講義概要とキーワード
- イントロダクション
- 染色体の階層性
- セントラルドグマ
- 生物学に重要な化学結合
- ファンデルワールス結合・水素結合・共有結合
- DNAの構造と特徴
- DNAの構成因子
- DNAを構成する単位
- 核酸の安定性
- キーワード:ヌクレオチド・シトシンの脱アミノ化・ホスホジエステル結合
- DNAの構造
- DNA鎖の構造
- 特殊な構造のDNA鎖
- キーワード:主溝・側溝・A(B,Z)型DNA・三重鎖DNA・四重鎖DNA
- DNAの構成因子
- DNAのトポロジー
- 閉環状DNAのトポロジー
- Linking Number
- 局所的な二重らせんの開裂
- キーワード:TwistとWrithe・超らせん
- トポイソメラーぜ
- I型トポイソメラーゼとⅡ型トポイソメラーゼ
- 閉環状DNAのトポロジー
- DNAの変性と再変性
- DNAの変性と濃色効果
- DNAの変性に影響を及ぼす要素
- キーワード・融解温度(Tm)
- DNAの変性とアニーリングを利用した実験法
- ハイブリダイゼーション
- PCR
- シークエンシング
- キーワード・アニーリング温度・次世代シークエンサー
- DNAの変性と濃色効果
小テスト
# | 問題 | 解答 |
---|---|---|
1 | ファンデルワールス結合、共有結合、水素結合の強さと特徴について簡潔にまとめてください。 | 共有結合>水素結合>ファンデルワールス結合 ファンデルワールス結合: 非極性原子の間の狭い距離で生じる非共有結合の一種(個々の力は弱い) 共有結合: 2原子間で1対または何対かの電子を共有することで生じる、安定な化学結合。 水素結合: 正電荷をもつ1個の水素原子が負電荷を持つ2個の原子に部分的に共有される非共有結合。 |
2 | 遺伝情報の担体としてDNAがRNAより優れている点を説明してください。講義で述べた内容に即しても良いですし、自身の考えを主張しても良いです。 | DNAはRNAに比べてOH基が1つ少なく、反応性が低いため安定である。 |
3 | PCRによって興味のある遺伝子断片を増幅しようとしましたが、以下のようなことが起こりました。プライマーのTmをどのように変えれば良いでしょうか。 | 考え方: Tm値は融解温度と訳され、「プライマーがターゲット配列と50%の割合で2本鎖を形成する温度」である。 そのため、温度が低い方が2本鎖を形成している比率が高くなると言える。また、Tm値よりも高い温度であったとしても、2本鎖の割合が少なくなるだけでAnnealingはおこっている。そこで、はじめは2種類のプライマーのAnnealing頻度を近似させるためにAnnealing温度は2つのTm値の中点あたりに設定する。 |
3.a | 目的断片以外にも複数の産物が得られました。 | 設定温度を高くする。これによりプライマーのAnnealing効率は下がるが、プライマーと鋳型DNAとのミスマッチが減少し反応の特異性が高くなる。 |
3.b | 産物は目的断片だけでしたが、十分な量が得られませんでした。 | 設定温度を下げる。これによってプライマーとターゲット配列が2本鎖を形成する割合が高まる。 |