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生物情報科学特別講義Ⅲ part3

第6回 2019/8/2 2限

  • 講師:伊藤隆司
  • 参考書:現代生物科学入門1:ゲノム科学の基礎
  • 参考書:ゲノム医学 メディカルサイエンスインターナショナル

トランスクリプトーム解析

  • 構造解析
  • 発現解析

構造解析

真核生物mRNAの特徴的構造

  • キャップ構造: 5'端に見られる修飾構造で、5'-5'のピロリン酸結合があり、塩基やリボースがメチル化されているのが一般的な特徴。 mRNAが5'端から分解されるのを保護する役割や、翻訳の開始に関与すると言われている。
  • ポリAテール: 3'端に見られる構造で、hnRNAの3'端付近の切断シグナル([AAUAAA]等)に基づいてhnRNAが切断された後、直ちにポリAポリメラーゼが100~200のアデニル酸を付加することによってできる。 mRNAの安定性や、mRNAの核外への移行に関与すると言われている。

完全長cDNA合成技術

完全長cDNAとは、ゲノムのDNA塩基配列のうち、タンパク質として翻訳される正確な領域のこと。

  • オリゴキャッピング(菅野):の構造を持つものだけを選択的に収集することにより、分解されていない完全な長さの遺伝子の配列を得ることができる方法
  • キャップトラッパー(林崎)
  • ベクターキャッピング(加藤)

オリゴキャッピング法

3段階の酵素反応で、5'端のキャップ構造をオリゴに置換する方法。

  1. BAP(bacterial alkaline phosphatase)で処理することにより、切断されたmRNAなどのキャップを持たないRNAの5'端のリン酸基を加水分解する。
  2. TAP(tobacco acid pyrophosphatase)処理により、5'端にリン酸基を残してキャップ構造を裂く。
  3. RNA ligaseを使用し、キャップ構造を壊され末端にリン酸基を持つRNAに対して任意に合成されたオリゴを付加する。

オリゴキャッピング法を施された全長のmRNAは5'端に任意のオリゴ配列を、3'端にポリA配列を持つこととなるので、cDNA合成後、これらを指標とした配列の鋳型配列を持つcDNAを選択することにより、5'端のキャップ部位から3'端のポリA配列までを含んだ全長cDNAを効率的に得ることができる。

キャップトラッパー

  1. mRNAに特有のキャップ構造をビオチン化する。
  2. RNaseI処理により、不完全長cDNAのビオチン化したキャップ構造だけを選択的に取り除く。
  3. 残ったビオチン化したキャップを有する完全長cDNAを、ストレプトアビジンをコートした磁気ビーズを用いることにより「釣り上げる」
  4. 選択された完全長cDNAをアルカリ処理することにより、ビーズから溶出する。
  5. ビーズから分離され1本鎖となった第一鎖cDNAの第二鎖を合成する。

ベクターキャッピング

Tテール末端のベクタープライマー(チミン連鎖を末端に有するベクター)とcDNA一本鎖をT4RNAリガーゼを用いて結びつける3段階の工程からなる。

mRNAのキャップ構造7-メチル化グアノシンに由来するGが、得られたcDNAの5'末端に存在することが完全長の裏付けとなる。

PCRや制限酵素を用いないため、変異や切断による不純物の混入がなく、完全長cDNAクローンの収率がかなり良く、また少ないサンプルで行うことができる。

RNA編集 RNA editing

  • C-to-U editing
    • APOBEC(ApoB Editing enzyme Catalytic peptide-like)が、小腸でApoBのCAAをUAA(終始コドン)に脱アミノ化
    • 小腸:ApoB-48(chylomicron) LDLR結合ドメイン欠損
    • 肝臓:ApoB-100(VLDL, IDL, LDL)
      • ゲノム配列上はCなのにcDNA配列上はT
  • A-to-I editing
    • ADAR(Adenosine Deaminase Acting on RNA)が、2本鎖RNA部分をアタックする。
    • AMPA型グルタミン酸受容体GluR2 Glu CAG → Arg CIG(CGG)
      • ゲノム配列上はAなのにcDNA配列上はG

構造解析の盲点

Epitranscriptome

  • 修飾
    • 塩基の修飾
    • リボースの修飾
    • 古典的ncRNA以外では研究が遅れている
    • 質量分析技術?
    • 第3世代シーケンサ?
  • 2次構造

ncRNAの機能制御

XISTが存在するだけではダメで、RNAの修飾がXISTの機能にクリティカルに影響を与えていることがわかった。(link)

2次構造の網羅的解析

各残基の塩基対形成率を計測する。

  • RNase感受性を利用
    • PARS(Parallel Analysis of RNA Structure)
    • Frag-Seq(Fragmentation-Seq)
  • 化合物感受性を利用
    • SHAPE-Seq(Selective 2'-hydroxyl acylation analyzed by primer extension)

発現解析

発現解析手法の原理による分類

  • ハイブリダイゼーションによるもの:DNAマイクロアレイ
  • タグカウンティングによるもの:SAGW→RNA-Seq

DNAマイクロアレイ

数万から数十万に区切られた基板の上にDNAの部分配列を高密度に配置して固定したものを指す。

  • 固定した遺伝子断片
  • 細胞から抽出したmRNAを逆転写酵素でcDNAに変換したもの

を基板上のDNA配列に対してハイブリダイゼーションすることによって、細胞内で発現している遺伝子情報を網羅的に検出することができる。

タグの概念

全体の配列を厳密に調べなくても、mRNAの分子種の識別子(ID)があれば良い訳で、つまり、各分子種と1対1対応の識別子がついていれば良い。

したがって、各分子種から一義的に定義される部分配列を収集して計数すれば良いはず!!

TypeⅡS制限酵素を利用した利用したタグの収集:SAGE(Serial Analysis of Gene Expression)


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Published
Aug 2, 2019
Last Updated
Aug 2, 2019
Category
生物情報科学特別講義Ⅲ
Tags
  • 3S 95
  • 生物情報科学特別講義Ⅲ 7
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