- 講師:饗場篤
- 参考文献:Neuroscience: Exploring the Brain, 3rd Edition
- 参考文献:Principles of Neurobiology
- 参考文献:カラー版 神経科学 −脳の探求−
問6
痛覚と聴覚について、各々の感覚受容体の名称・局在・機能および、感覚受容体の活性化で生じるシグナル伝達系の反応、大脳皮質までの伝導路について簡単に述べなさい。
(例)嗅覚系では、感覚受容体は嗅細胞に存在するGタンパク質共役の嗅覚受容体である。嗅覚受容体に匂い物質が結合すると、細胞内で、アデニル酸シクラーぜの活性化に夜cAMPの産生が生じ、陽イオンチャンネルの開口、膜の脱分極が生じる。嗅細胞からのシグナルは、嗅球僧帽細胞を介して、一次嗅皮質へと伝導される。
解答
1. 痛覚
痛覚系では、感覚受容体(侵害受容器)は 分岐した無髄神経の自由神経終末 である
2. 聴覚
問7
前庭動眼反射 とは何か?
解答
¬前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex(VOR))¬とは、 「頭の回転運動で起こる眼球の反射運動。網膜上の視覚像の固定化に寄与する」
正確な視覚には、頭の運動に関わらず、網膜に安定した像が保たれる必要がある。それぞれの眼球は6つで一揃いの外眼筋(extraocular muscle)により動かされているが、VORは頭の回転を検知し、ただちに反対方向に眼の代償性の運動(compensatory movement)を指令する。この運動により、視線が視覚の目標物にしっかり固定される。VORは視覚入力よりも¬前庭(vestibular)¬の入力により引き起こされる反射なので、暗所や眼を閉じている時でも驚くほどよく働く。
問8
眼球優位円柱 とは何か?
解答
¬眼球優位円柱(コラム)(ocular dominance column)¬とは、 「主として片眼からの情報を受け取る有線皮質の部位」 のこと。
左右の別々の眼からの情報は¬外側膝状体(lateral geniculate nucleus; LGN)¬の別々の層が扱い、LGNの唯一の主要なシナプス標的である¬一次視覚野(有線皮質,V1野)¬の第ⅣC層に到達するが、この情報伝達に用いる軸索末端の分布がⅣC層では一様ではなく、むしろそれぞれ等間隔を保った約0.5mm幅の小断片に分かれている。これらの断片を¬眼球優位円柱(コラム)(ocular dominance column)¬と呼ぶ。
問9
アルツハイマー病 の発症機序について述べよ。
解答
¬アルツハイマー病(Alzheimer's disease)¬は、認知機能にとって重要な脳の領域である大脳皮質のニューロンの細胞骨格の破壊によって生じる。
問10
体部位再現(局在)地図 とは何か?
解答
皮膚上の隣接する受容体が、神経系の内部にある標的構造においても隣接するニューロンに情報を与えるという体性感覚経路の部位局在の機構を¬体部位局在(ソマトトピー)(somatotopy)¬と呼び、これに基づいて体部位を脳表に配置した図を¬体部位再現図¬と呼ぶ。カナダの脳外科医ワイルダー・ペンフィールドらによるホムンクルスが有名。
問11
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) の産生部位、作用部位、作用について述べよ。
解答
¬副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)¬は、コルチコトロピン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone; CRH) に反応して下垂体前葉から放出されるホルモン。副腎からの¬コルチゾール(cortisol)¬放出を刺激する。コルチゾール(cortisol) は、血中に放出されると全身に作用し、様々なストレスに耐えて生活するために、貯蔵庫からエネルギー源(グルコース)を動員し、また免疫系を抑制する。
問12
視床下部外側(lateral hypothalamus) と 視床下部腹内側(ventromedial hypothalamus) の摂食における役割について述べよ。
解答
¬視床下部外側(lateral hypothalamus)¬の両側性の損傷は 食欲不振(anorexia) を引き起こす。対照的に、¬視床下部腹内側(ventromedial hypothalamus)¬の両側性の損傷は、過食と肥満を引き起こす。