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細胞分子生物学Ⅰ 第6回

第6回 2019/5/22

  • 講師:大杉 美穂
  • 参考書:Molecular Biology of the Cell: Chapter 20
  • キーワード:核・微小管・分裂期染色体分配・受精・卵割・(哺乳類の着床前胚発生)

核膜と核膜孔

核膜: 核を包む二重の膜系(二重層が2枚)。外膜と内膜からなり、核膜孔が開いている。外膜はそのまま小胞体(ER)につながっており、内膜は核ラミナで裏打ちされている。(核構造の補強、クロマチンとの結合)

細胞内の生体膜(脂質二重膜)

  • 細胞質に突然新しく作られることはない(ようだ)
  • 必ず閉じた構造を取っている。(1枚の膜がヒラヒラしていることはない。)
  • 既存の幕が変形する・足される(面積が増える)・ちぎれる・縮合することが起こる。
  • 細胞膜の構造物は場所が固定されているわけではなく、リン脂質も膜タンパク質も流動的に動いている(流動モザイクモデル)。

小胞体の構造

核ラミナ

  • 膜とクロマチンがベタッとくっ付いているのではなく、核ラミナなどを介して結合している。
  • 核膜の内膜の内側表面にある繊維タンパク質からなる籠状の構造体。中間系フィラメントであるラミンを主成分とする。
  • 核膜孔複合体と核膜内膜の膜内在タンパク、クロマチンと接着して、複雑なネットワークを形成することで、高度な核内反応を可能にしている。

核膜孔

  • 約30種の核膜孔タンパク質(nucleoporin)から成る数百サブユニットで構成される巨大複合体
  • 8つのユニットが環状に並んだ構造をしている。
  • 核の内側に核バスケットと呼ばれる特徴的な構造が突き出ていて、輸送過程ではこれらの構造と輸送される物質の相互作用が重要な役割を果たしている。

どのようにして真核細胞ができたのか?

  • 小胞体ができている
  • ミトコンドリアなども同じようにできている

ということを考えると、上図Aの方が信憑性が高い…?


ここまで間期の核膜の話であったので、他の期間の様子も見る

期間 内容
前期 染色体凝集
核膜崩壊
前中期 紡錘体形成/染色体整列
中期 染色体が紡錘体赤道面に整列
後期 染色体の分配運動
核膜再形成
終期/細胞質分裂 娘細胞の核形成と染色体凝縮

核膜崩壊

前期 前中期
完全な状態 リン酸化によって分断化される

核膜崩壊(核膜消失)とは、具体的に角膜がどうなること??

核膜崩壊時には、核ラミナ構成タンパク質ラミン、核膜孔タンパク質がリン酸化され、

  1. 核膜を裏打ちし、構造的な強度を与えていた核ラミナが消失。(∵ ラミンの重合ができなくなる。)
  2. クロマチンと核膜孔・核内膜貫通タンパク質との結合が消失。
  3. 核膜がシート状からER(小胞体)のようなチューブ状へと変形し、ERと一体化して細胞質に散らばる。

核ラミナのリン酸化

詳しいことは、Mutations of phosphorylation sites in lamin A that prevent nuclear lamina disassembly in mitosis.に書いてある。

核膜再形成

リン酸化でバラバラになり、脱リン酸化で元に戻る。

なぜ核膜は染色体表面に形成されるのか?

"染色体"の構造が必要か?

  • xenopus egg extract アフリカツメガエルの卵を遠心すると遠心力で卵が潰れいくつかの層ができる。この時中間層には細胞質がある。 → 間期のegg extract中にDNAがあれば核膜で覆われることがわかった。 ただ、ここで見ているのは核膜だけであり、核という構造を作るためには核膜孔も必要。

→DNAを結合させたビーズの周囲にも"核膜"は形成される。しかし、"核膜孔"の構成にはヌクレオソーム構造が必要。

DNAが必要か?

RanGTPaseを結合させたビーズの周囲にも核膜が形成される。

  • BAF: DNAに結合して膜成分を引き寄せる
  • RCC1: DNAにもヌクレオソームにも結合する。
  • ELYS: ヌクレオソームに結合してNupsを引き寄せる

染色体表面で構成因子が融合して一続きの核膜が再形成される。

何十本もある染色体が1つの核に収まる。 → 数十本の染色体が"ひと塊"になっている必要がある。 → 実際そうなっていた。

以上より、核膜形成のポイントは染色体表面で起こるということ。

Kid/kinesin-10

Kid欠損マウスの解析から、哺乳動物の胚発生のごく初期、すなわち、受精卵に蓄積された母性因子依存的に細胞周期が進行する時期には、分裂期染色体分配も特別な様式で起こることが示唆された。

受精開始から数回の卵割分裂にかけて、

  1. 娘細胞核の形成に、Kidによる分裂後期染色体コンパクション(染色体占有体積は分裂後期の終盤に最小になる)が必要
  2. 核が多核になっても細胞周期を止めない

という特徴があることがわかってきた。

  • Kidを欠損した受精卵では、受精後の数回の染色体分配に限り高頻度に多核を持つ割球が生じてしまい、50%~80%の胚は着床前に発生が止まる。
  • 胚盤胞期まで発生した胚には多核などの異常は見られず、生殖可能な成体となる。

また、体細胞分裂やカエル卵では染色体分配後に引き続き起こる核膜形成は染色体分配運動が終了すると直ちに起こるが、哺乳類雌性減数第二分裂時の核(雌性前核)形成は染色体分配運動が終了してから1~2時間経った後に開始される。

→(つまり、受精後しばらくは全ての遺伝子がOFFになっており、卵が蓄えているRNAやタンパク質(母性因子)で生きている。)

なお、数回分裂すると遺伝子遺伝子がONになり、新しくRNAやタンパク質を作ることを、Zygotic Genome Activation(ZGA)と呼ぶ。


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Published
May 22, 2019
Last Updated
May 22, 2019
Category
細胞分子生物学Ⅰ
Tags
  • 3S 95
  • 細胞分子生物学Ⅰ 14
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