第4回 2019/5/8
- 講師:山田 貴富
- 参考書:遺伝子の分子生物学 第7版 pp.341-422
- 参考書:細胞の分子生物学 第5版 pp.304-328, pp.1552-1568
- 参考書:ゲノムを司るインターメア
- 参考書:自己変革するDNA
講義概要とキーワード
- 相同組換え
- 相同組換えが活性化される状況とその産物
- キーワード:交差型組換え・非交差型組換え・遺伝子変換
- 相同組換えの反応概略
- キーワード:Dループ・ホリデージャンクション・鎖の侵入・相同性対合・分岐点移動
- 相同組換えに関わる因子
- 出芽酵母で明らかになっている組換え関連因子
- クロマチン関連因子
- キーワード:RecA/Rad51
- 減数分裂期に起こる相同組換え
- 減数分裂期組換えの意義と特徴
- クロマチン構造中での減数分裂期組換え開始機構
- キーワード:ホットスポット・Spo11
- 相同組換えが活性化される状況とその産物
- 転位
- 転位因子の種類
- DNAトランスポゾン、ウイルス型/非ウイルス型レトロトランスポゾンの構造
- キーワード:LINE・SINE
- 転位因子の転位機構
- DNAトランスポゾン、ウイルス型/非ウイルス型レトロトランスポゾンの転位機構
- キーワード:トランスポザーゼ・逆転写酵素・インテグラーぜ・エンドヌクレアーゼ
- 転位因子の功罪
- 転位因子の種類
- 部位特異的組換え
- 部位特異的組換えの定義と特徴
- キーワード:欠失・転位・逆位
- V(D)J組換え
- 抗体分子の構造、V(D)J組換えの流れと特徴
- V(D)J組換えと局所的クロマチン構造
- V(D)J組換えと高次クロマチン構造
- キーワード:RAG1-RAG2
- V(D)J組換えとクロマチン構造
- 組換えの起こらない状況でのヒストン修飾
- 組換えに関わるヒストン修飾
- キーワード:germline transcription・PHD・フィンガードメイン
- 部位特異的組換えの定義と特徴
小テスト
# | 問題 | 解答 |
---|---|---|
1 | 相同組換えについて | |
1.1 | 相同組換えを簡潔に定義してください。 | 同一、または非常によく似たDNA塩基配列間の遺伝的交換。通常、相同染色体の間で起こる。また、DNA二本鎖切断の修復機構でもある。 |
1.2 | 相同組換えが活性化されるケースを二つ答えてください。 | DNAが損傷した場合(特に二本鎖切断)・減数分裂期 |
1.3 | 上の2のそれぞれについて、異なる点をまとめてください。 | 減数分裂: 配列情報が同一である姉妹染色分体ではなく、配列情報に若干の違いを含む相同染色体間で優先的に起こり、その結果として,第一分裂での相同染色体の分離に欠かせない相同染色体間での物理的な連結であるキアズマが形成される。この相同染色体間でのキアズマ形成の副産物として遺伝情報の交換が行われるため、ゲノム DNA 配列の変動が起こる。 修復: 減数分裂期組換えとは異なり、配列情報が同一である姉妹染色分体が優先的に利用される。そのため、相同組換え修復は、配列情報の変動を伴わずに正確に二重鎖切断損傷を修復することができる。 |
2 | 転位因子(トランスポゾン)について | |
2.1 | 3つに分類してください。 | ・DNAトランスポゾン ・ウイルス型レトロトランスポゾン ・非ウイルス型レトロトランスポゾン |
2.2 | 転位因子の転位の際、次の酵素が果たす役割を述べてください。 ⅰ. 逆転写酵素 ⅱ. トランスポザーゼ |
ⅰ. 逆転写酵素: RNA依存性DNAポリメラーゼで、逆転写反応を触媒する酵素。一本鎖RNAを鋳型としてDNAを合成(逆転写)するもので、レトロウイルスの増殖に必須の因子。 ⅱ. トランスポザーゼ DNA型転移因子がゲノムDNA上を移動するときに使う酵素で、転移因子自身がこの酵素を指令する遺伝子を持っており、転移因子の両末端を切断して切り出した後、宿主DNAの他の部位に挿入することによって移動させる。 |
3 | V(D)J組換えに関すると考えられるヒストン修飾を一つ挙げ、その組換えにおける役割を述べて下さい。 | H3K9me ヒストン及びDNAに刻印されたNの修飾のパターンがマーカーとなり、クロマチンの接近性を変える。 ref: Lance R. Thomas, 2008 |