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生物情報科学特別講義Ⅲ part2-2

第5回 2019/8/2 1限

  • 講師:伊藤隆司
  • 参考書:現代生物科学入門1:ゲノム科学の基礎
  • 参考書:ゲノム医学 メディカルサイエンスインターナショナル

ヒストン修飾の網羅的解析

クロマチン

  • ヒトの細胞は2mのDNAを保持
  • 5ミクロン(40万分の1)の核に収納
  • 核タンパク質との複合体(クロマチン)として収納
    • ヘテロクロマチン:しっかり収納
    • ユークロマチン:ゆるく収納
  • 収納の基本単位がヌクレオソーム: ヒストン8量体(H2A,H2B,H3,H4)×2に約147bpのDNAが巻き付いた構造を取る。

ヌクレオソームの配置

  • ヌクレオソームの位置もDNA配列がコードする?
    • 精度の高いデータから学習
    • 予測精度も上昇
    • 試験管内再構築ヌクレオソームの位置はよく予測できる。
  • in vivoでのヌクレオソーム位置を知りたい。
    • DNA自体の物性だけでは決まらない
    • むしろ予測からずれる部分が生物学的には面白い

MNase-Seq

  1. ヌクレオソーム結合DNAはMNaseによる切断を受けない(リンカー領域において二本鎖切断を起こすが、ヌクレオソーム領域では一本鎖ニックしか起こさない)という性質を利用する。
  2. この酵素によって切断したゲノムDNAをアガロースゲル電気泳動にかけるとモノヌクレオソームサイズ(約147bp)とその倍数のサイズに相当するバンドが得られる。
  3. 得られたモノヌクレオソームDNAを次世代シーケンサにてシーケンシングすることで、ヌクレオソーム結合領域を同定する。

ヒストン修飾

  • ヒストンには、様々な翻訳語修飾が起こる。
    • アセチル化
    • メチル化
    • リン酸化
    • ユビキチン化 etc.
  • 従来の生化学的解析では、全体としての量の変化しか捉えられなかった。
  • 修飾特異的抗体を用いたChIP-Chip/ChIP-Seq解析により、ヒストンの修飾が起こっている位置をゲノムワイドに捉えられるようになった
  • ヒストン修飾は各サイトが独立に制御されるのではなく、クロストークによるネットワークを構成し、相互作用を与えていることがわかった。

ヒストンのアセチル化

  • 転写が活性な領域に多い
  • ヒストンアセチル化酵素:\(\mathrm{HATs}\)
  • ヒストン脱アセチル化酵素:\(\mathrm{HDACs}\)
  • 作用機構:
    1. リジン残基のアセチル化によりヒストンの正電荷が中和される。
    2. DNA結合タンパク質がDNAにアクセスしやすくなる。
    3. 遺伝子発現が活性化される。

ヒストンのメチル化

  • メチル化される残基によって分布が異なる。
    • 活性化と相関:\(\mathrm{H3K4},\mathrm{H3K36}\)
    • 抑制化と相関:\(\mathrm{H3K9},\mathrm{H3K27},\mathrm{H4K20}\)
  • ヒストンメチル化酵素:\(\mathrm{HMTs}\)
  • ヒストン脱メチル化酵素:\(\mathrm{HDMs}\)
  • 作用機構:
    • 非メチル化状態で結合できる転写因子が結合できなくなる。
    • リーダータンパク質が転写抑制因子をリクルートする。

ヒストンバリアント

バリアント 役割
H3.3 転写活性化
CENP-A セントロメア
H2AX DNA修飾・組換え
H2AZ 遺伝子発現・染色体分離
macroH2A 転写制御・X不活化

クロマチン構造の網羅的解析

知りたいこと

クロマチン構造がオープンかクローズか

DNase-Seq

エンドヌクレアーゼ Deoxyribonuclease I(DNase I) の持つ、クロマチンの緩い領域を切断しやすい性質を利用する。

マップされたリードの5'端(DNaseIにより切断された位置)がオープンクロマチン領域という認識。

ATAC-Seq

  1. \(\mathrm{Tn5}\) トランスポゼースと遺伝子シークエンスに用いるプライマー配列を挿入したトランスポゾン複合体を混ぜて感染させる。
  2. オープンクロマチン領域にだけトランスポゾンが飛び込むので、特異的にタグ付けが可能。
  3. この標識がシークエンスプライマーにもなっているので、標識部位をシーケンシングする。

知りたいこと

クロマチン構造がオープンな場合に、どんな核内因子が結合しているのか

ChIP-hoge

ChIP-hogeという手法はいくつか存在していたが、分解能が異なる。現在はChIP-Exoが最も良い。

ChIP以外のアプローチ

DamID TCL

ChIL-seq

Chromatin Integration Labelling. 一細胞解析も可能。

  1. 抗体に連結したDNA配列をトランスポゼースで抗体結合部位近傍のDNAに挿入
  2. 挿入部位の隣接ゲノム部位をT7 RNAポリメラーゼで転写
  3. RNA-sで隣接ゲノム部位を同定

核内高次構造の網羅的解析

知りたいのは、3次元的な距離

3C Technologies

  • Chromosome Conformation Capture Technologies
  • 原理はProximity Ligation.
  • TAD(Topologically Associated Domain)の解析に役立っている。


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Published
Aug 2, 2019
Last Updated
Aug 2, 2019
Category
生物情報科学特別講義Ⅲ
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  • 3S 95
  • 生物情報科学特別講義Ⅲ 7
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