- 講師:樋口秀男
タンパク質の構造と安定性
タンパク質の定義
- 特定のアミノ酸(20種類)が重合した重合体である。
- 特定の立体構造をとる。(これがないとポリペプチド)
機能 | 説明 |
---|---|
分子認識 | ミオグロビンは酸素を結合。抗体は抗原と結合。 |
触媒(酵素) | 化学反応の反応速度は \(10^8\)~\(10^{17}\) 倍にも加速される。 |
制御 | 基質の結合や環境の変化に伴い構造を変化し、タンパク質の反応を制御する。 |
エネルギー変換 | 光を電位に換え、ATP分解を力に換える。 |
構造形成・維持 | タンパク質重合体は細胞や細胞内器官の構造を支える。 |
タンパク質を構成するアミノ酸
d-グリセルアルデヒドの立体配置を基準として、この立体配置を崩さずにできる化合物をD-体、その鏡像異性体がL-体。
※ タンパク質はL体
構造 | 名前 | 略(三文字) | 略(一文字) |
---|---|---|---|
アラニン | Ala | A | |
アルギニン | Arg | R | |
アスパラギン | Asn | N | |
アスパラギン酸 | Asp | D | |
システイン | Cys | C | |
グルタミン酸 | Glu | E | |
グルタミン | Gln | Q | |
グリシン | Gly | G | |
ヒスチジン | His | H | |
イソロイシン | Ile | I | |
ロイシン | Leu | L | |
リシン | Lys | K | |
メチオニン | Met | M | |
フェニルアラニン | Phe | F | |
プロリン | Pro | P | |
セリン | Ser | S | |
トレオニン | Thr | T | |
トリプトファン | Trp | W | |
チロシン | Tyr | Y | |
バリン | Val | V |
# 上記の表は以下のコードを応用して作成した。
url = "https://ja.wikipedia.org/wiki/タンパク質を構成するアミノ酸"
soup = BeautifulSoup(requests.get(url).content, 'lxml')
for li in soup.findAll("li", {"class": "gallerybox"}):
text = str(li).replace('\n', '')
src = re.findall(r'<img.*src="(.+?)".*>', text)[0]
name, l3, l1 = re.findall(r'<p>.*title="(.+?)".*<br/>\((.+?)\xa0\/\xa0(.+?)\)</p>', text)[0]
理論的構造決定法
- アミノ酸配列→量子力学→タンパク質の構造とエネルギー状態を決定
- シュレディンガー方程式は水素原子のみ解析的に解くことができ、それ以外は近似を行う必要がある。
- 現在、高精度に計算(第一原理分子動力学法)できるのは1つの構造に対して100原子程度である。
- 水分子を考慮しなければ、タンパク質の構造や電子軌道を精度よく求めることはできない。
- アミノ酸がポリペプチド結合した重合体から機能を持つ立体構造を創り構造を維持するためには、立体構造が熱力学的に安定でなければならない。→Gibbs自由エネルギー \(G\) を見る。
- 準安定なのは、\(G\) が極小の時。
- 最も安定なのは、\(G\) が最小の時。
まとめ
- 生体の機能を主に担っているのは、タンパク質である。(RNAも機能に重要である。)
- タンパク質は分子認識・触媒・制御・エネルギー変換・構造形成維持などの機能を有している。
- アミノ酸配列から計算によってタンパク質構造を決定することに成功していない。(部分構造はできている。)
- 酵素機能を行うとき、酵素の多くの場所が構造変化を行う。
第7回目の講義(11/6)の小テスト
指定課題:
- 第1,2,3回の講義の中で、最も興味のある事柄について300~500字でまとめる。
- この事柄と関連する内容を調べるなどして、自分の意見を300~500字で述べる。
- 図や式を使いわかりやすく説明すること。図や式は文字数に含めない。