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分子生命科学Ⅲ 第3回

  • 講師:饗場篤
  • 参考文献:Neuroscience: Exploring the Brain, 3rd Edition
  • 参考文献:Principles of Neurobiology
  • 参考文献:カラー版 神経科学 −脳の探求−

感覚神経系(1)

感覚系の構成

  • 1:外界や内界からの感覚刺激を電気信号に変換する装置
  • 2:感覚細胞で生じた電気信号は、一次感覚ニューロンに始まる感覚神経のリレーにより中枢に伝達される。種々の感覚情報は、特定の伝達路を通り、大部分が3を経由して特定の4に到達する。
  • 5(4):感覚情報は、4の5(体性5、視覚野等…)を興奮させる
slide2

体性感覚

体性感覚系(somatosensory system)は、

  1. 受容体が体の一部ではなく、全身に分布 しており、皮膚・粘膜・関節・筋・腱など様々な場所から感覚を受け取る。
  2. 多様な刺激に対応するため、単一の感覚というよりも、少なくとも4つの感覚(6・7・8・9)によって構成されている。
    • 6・7の刺激は機械的、もしくは熱・寒冷・化学物質
    • 8の刺激は機械的刺激
    • 9は、関節の屈曲度や筋の収縮度に関する感覚情報で、脳はこの感覚により身体各部の位置感覚、運動の状態、体に加わる抵抗感覚、重量感覚等の情報を得る。

という点で他の感覚系と異なっている。

感覚ニューロン

体性感覚系は、皮膚および筋肉全体から構成される最大の感覚器を有している。

体性感覚系の全ての感覚ニューロンの細胞体は、ヒトでは

  • 10対の11:同じく10対の12と一対一の関係になっている。ただし、1つの11が切断されても、隣接する11が重複する領域を神経支配しているため、対応する13と同側の感覚が全て失われるわけではない。(3つの隣接する11が切断されると1つの13の感覚が消失する。)
  • 14対の15:脳幹に隣接しており、顔の体性感覚を担っている。
皮膚の分節構造 脊髄の分節構造
slide4 slide5

※ 10対の12は、神経の始まる椎骨にちなんで名付けられている。

のいずれかに位置している。

皮膚の機械受容器

体性感覚系の受容器の多くは16であり、それぞれの受容器の中心部には無髄の神経突起の枝がある。これらの神経突起の終末は17を持っている。これらのイオンチャネルの開閉は、チャネル周囲の細胞膜の伸展や張力の変化に依存する。

https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=325x1024:format=jpg/path/sc98ddff6dcd9af1a/image/i51a19f29b2a46c8d/version/1541212949/%E6%9C%89%E6%AF%9B%E9%83%A8%E3%81%AE%E7%9A%AE%E8%86%9A%E5%9B%B3.jpg

皮膚の機械受容器を上図に示した。

名称 役割 受容野の大きさ 順応
18 真皮の深くに位置し、最大で2mm、多くは1mm程度であり、裸眼で見ることができるほど大きい 大きい 19
20 有毛部および無毛部に見られ、18よりわずかに小さい。 大きい 21
22 18の1/10程度の大きさで、無毛皮膚の隆起部(ex.指紋の隆起部)にある。 小さい 19
23 表皮内にあり、神経終末と扁平な非神経性の上皮細胞からなる。 小きい 21

なお、刺激の詳細な性質を識別する能力は、体の部分によって大きく異なっており、2点識別覚の結果は以下のようになる。指先が最も分解能が高い。これは、

  • 指先の機械受容器の密度が体のどの部分よりも高い。
  • 指先には小さな受容野を持つ受容器が多い。
  • 多くの脳組織が、体の他の部分より指先の感覚の分析に充てられている。
  • 脳には高分解能の識別を担う特別な神経機構がある。

などの理由が挙げられる。

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一次求心性軸索

  • 皮膚は豊富な神経支配を受けており、この軸索は末梢神経系の膨大なネットワークを形成し、中枢神経系に達している。
  • 体性感覚受容器から脊髄、あるいは脳幹に情報を伝播する軸索は、体性感覚の24である。
  • 24の径は様々であり、その太さは接続している感覚受容器の種類に関係している。

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  • 太い有髄神経線維(\(A\alpha,A\beta\)線維)は、伝達速度30-120m/sで速く、9と8を運ぶ。
  • 細い有髄神経線維(\(A\delta\)線維;伝達速度4-30m/s )、無髄神経線維(\(C\)線維;伝達速度0.5-2m/s)は7・6と一部の8(優しく撫でる等の快楽的な接触等)を運ぶ。

体性感覚野

全ての感覚野と同様に、体性感覚の処理の最も複雑な段階は大脳皮質で起こる。なお、体性感覚系に関連する皮質の大部分は、25にある。

ブロードマン3b野は現在、26とされており、中心溝のすぐ後ろにある中心後回と呼ばれる皮質に存在する。

slide20

S1野の皮質表面の電気刺激により、体の特定の部位の体性感覚を生じさせることができるので、これを用いて 皮質の体性感覚の体表面地図(27) を作ることができる。また、皮質の単一ニューロンの活動を記録して、そのニューロンの体性感覚受容野の体表面上の部位を明らかにする方法でも、これを作ることは可能である。

slide21

上記の27からは、

  • 地図は必ずしも連続しているのではなく、分離されていることもあること。(ex.手の部位再現は顔や頭からは分離している。また、外陰部は足指の下にあり、最も深い隠された位置にある。)
  • 体性感覚地図を立体で表現した28を見ると、28はヒトの体の相似形ではなく、むしろ戯画のように見えること。体のそれぞれの部位に当てられる皮膚の相対的な大きさは、その部位からの感覚入力の密度(≒重要性)に関係を持っている。

がわかる。なお、皮質地図は感覚 経験 の量に応じて動的に変化することが知られている。(刺激を消失させると、その場所に与えられていた皮膚部位は隣接部位に当てられる/刺激が増加された場合、刺激された部位が拡大。)

シナプス伝達

シナプスには2つの面、29と30がある。シナプス前側は一般に軸索終末で、直径約50nmのシナプス小胞が多数含まれている。シナプス小胞は31を含み、これを用いて 他のニューロンの樹状突起や細胞体 からなるシナプス後側と情報伝達を行なっている。シナプス前膜とシナプス後膜の間は、20-50nmの32がある。

31のシナプス前からの放出によって引き起こされる 短時間の シナプス後膜の

  • 33は、34と呼ばれている。これは、アセチルコリンおよびグルタミン酸動性イオンチャネルで、リガンドが結合すると、非選択的陽イオンチャネルが開口し、\(\mathrm{Na}^{+}\)や\(\mathrm{K}^{+}\)の陽イオンを通過させる。
  • 35は、36と呼ばれている。GABA、グリシン作動性チャネルはリガンドの結合により、陰イオン、主に\(\mathrm{Cl}^{-}\)を選択的に通過させる。

神経伝達物質

37

多くのニューロンはただ1つの神経伝達物質(アミノ酸、アセチルコリン、モノアミン)を持つ。一方、神経ペプチドを含む多くのニューロンは、アミノ酸、アセチルコリンあるいはモノアミンと神経ペプチドを放出する。

主要な神経伝達物質としては以下が挙げられる。

種類 神経伝達物質 説明
アミノ酸 グルタミン酸(Glu) 中枢神経系の38ニューロンのほとんど、感覚ニューロンのほとんど
アミノ酸 GABA(γ-アミノ酸) 中枢神経系の39ニューロンのほとんど
アミノ酸 グリシン(Gly) 中枢神経系の39ニューロンの一部(脳幹や脊髄に存在)
アセチルコリン(Ach) 筋肉を興奮させる運動ニューロン、自律神経系のニューロン(交感神経の節後以外全て)、中枢神経系の興奮性および調節性ニューロン
モノアミン(monoamine) セロトニン(5-HT) 中枢神経系の40ニューロン
モノアミン(monoamine) ドーパミン(DA) 中枢神経系の40ニューロン
モノアミン(monoamine) ノルアドレナリン(NA) 中枢神経系の40ニューロン、自律神経系のニューロン(交感神経の節後ニューロン)
モノアミン(monoamine) ヒスタミン 中枢神経系の40ニューロン
神経ペプチド 38、39、40のニューロンから共放出、神経内分泌細胞

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Published
Oct 10, 2019
Last Updated
Oct 10, 2019
Category
分子生命科学Ⅲ
Tags
  • 3A 127
  • 分子生命科学Ⅲ 14
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